*朝方の夢は希望を乗せて空を飛ぶ*
1.prologue
幼かった私には何故、父と母が別々のトラックに荷物を運んでいるのか解らなかった。引っ越しの時はいつも、同じ箱に父と母と私の荷物をぎゅうぎゅうに詰め込んでいたのに。母が「後でどれが誰のか分からなくなっちゃうわよ。」と言った時、父は「荷物も僕たちみたいに一緒にしたいじゃないか。」はははは、と笑ってそれを私が真似してはははと笑って、「まったく、もう」と言いながらも母も笑っていたのに。それなのに。どうして?と聞いても2人とも答えてくれなくて。父も母も疲れたような、どこか解放されたような顔で。
どうしてなんだろう
庭には雪が降っていた。季節は秋から冬になっていた。