「いいけど、大したものないからね。普通の一般的な家が広いって感じ」
「その広い家に行きたいの!私、浅瀬菜奈だから!」
浅瀬さんって言うんだ…。
全然知らなかった。
瑠夏が頬を膨らませる。
「いつも他の子とキャーキャー言ってる癖に、お金持ちのこと知ったら、美海に近寄ってさっ」
「まあいいじゃんいいじゃん。瑠夏も何度か家来てるし」
一番多くいるのは瑠夏なんだし。
瑠夏、自分が一番じゃなかったらヘコんじゃう時あるんだよね。
直した方がいいかもだよ、瑠夏〜。
「ねえねえ、詩神さん!」
3年生の学年カラーのスリッパ!
どうして私のこと知ってるの?
悪いことでもしちゃったかな?
屋上へ呼び出されて、3年生の先輩はこちらを振り返った。
「急にごめんなさい。知ってるよね、私のこと。お父さんの仕事を継ぐって母から聞いたから。私の母は、詩神さんのお父さんの事業ライバルなの。私が詩神さんと繋がることって、結構大切なことらしいの」
パパの事業ライバルの娘さんと!?
今から繋がっておくってこと!?
私、めちゃめちゃ継ぐことになっちゃってるじゃん…。
「私の名前は木下だから。木下救急会社のあととり娘ね!よろしく!」
木下救急会社って聞いたことある…!
確か、詩神医療会社のパートナーでありライバルらしい会社だった。
「ちょっと、美海っ!」
「瑠夏!?どうしたの!?」
「こっちだよ!何があったの!?」
木下先輩とあったことを瑠夏に話すと、瑠夏は驚いた顔をした。
そんなにビックリする!?
「未来の話をされてるんでしょ!?さっすが美海!頑張れ!時期社長さんっ」
じ、じ、時期社長って…。
急に恥ずかしくなって赤面化する。
ちょっと、瑠夏〜!