Prologue
*うららSide…*
「…らら…うらら…!」
白い靄の中で、誰かが私の名前を呼んだ気がした。
ここは、どこ?
気がついたらここに立っていた。
夢、なのかな?
ちょん、と袖を引かれた。
振り向くと、私の腰より少し高い位の小さな女の子がいた。
「うらら!また一緒に遊ぼう?」
女の子は満面の笑みで私を見つめている。
「え…?」
なんでこの子は私の名前を知っているんだろう?
それに、『また』?私、前にこの子と会ったことがあるの?
でも、こんな小学生にもなってない様な子、知り合いにはいないんだよね…
「ねぇ、うらら?」
女の子は考え込む私を見て不思議そうな顔をしている。
一体、この子は誰なの?
私と会った事があるの?それならいつ?どこで?
うーん…
「…らら…うらら…うらら…」
また女の子が私の名前を呼んだ。でも、さっきよりも遠くから聞こえる気がする。
顔を上げると、女の子はいつの間にかなり離れた所にいた。
それに、靄も濃くなって来ているみたい。
「うらら…ばいばい。またね…」
女の子が寂しげな顔で靄の向こうに消えていく。
私は思わず走り出した。
「待って!あなたは誰なの?なんで私のこと知ってるの?」
だけど、走っても走っても、女の子との距離は縮まらない。いや、寧ろ離れていく。
女の子は寂しげな顔で私に手を振っている。
「ばいばい…」
体力の限界だ。立ち止まって肩で息をしながら、
もうほとんど消えかけている女の子に向かって叫ぶ。
「あな…は…あなたは誰なの!?」
…
見慣れた景色。私の部屋だ。
やっぱり、夢だったんだ。
「夢か…」
そうだよね。夢だよね。
でも、夢の割にはリアルな感じだった…
それに、今考えてみるとあの女の子、どこかで見たような見てないような…
あの女の子、ほんとに一体誰だったんだろ?
「ふぁぁぁぁ…」
あーあ。いつもならこんなモヤモヤした気持ちで朝を迎える事はないのになぁ…