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2:ぽんず:2018/02/04(日) 20:12

「お腹すいた」

静寂の中で、その子が言った言葉だけが響いた。

「…お腹。すいたの?」

そう問いかけると、少しだけ居心地を悪そうにして頷かれる。
直後に響く腹の音。なるほど、あながち嘘ではなさそうだ。信じる価値はあるだろう。ここで騒がれても困るのだ。

「そうね…それなら、この先にコンビニがあるから…それまで、我慢よ。いいわね、少しだけの辛抱だから…」

また、頷く。その瞳の奥に怯えが入ってるのを感じて、少しだけ居たたまれなさが湧いた。
ごめんね。それだけ呟いて、手を引く。ごめんね、ごめんね。もう少しの辛抱だから。もう少しで。あと少しだけ待てば、楽になれるから。


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