終焉のエミリー

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2:アルカリ性:2018/02/06(火) 18:19

重い瞼を開けて、意識を現実世界へと戻そうとする。
私は花畑に寝転がっていた。空は青く、花は美しい。が、その光景はただただ永遠に続いているだけ。
「…よっ、気がついたか。」
声の低さからして、多分男性であろう人物が私に話しかけている。
頬ぐらいまであるような口がニィッと笑っていて、気持ち悪いとも思えるほどだ。しかも、灰色のローブを身に纏っている。いっそう不気味だ。
「エミリーはお寝坊さんだな。こっちは待ちくたびれたよ。」
ローブのせいでよく見えなかったが、その容姿に似合わないほど目がとても綺麗な緑色をしていた。
「…僕の顔に何か付いてるかい?」
「…!い、いや。なんでもない…です。」
思わず見入ってしまった。
そうだった。この人は私に話しかけているんだった。
「あの…あなたは…」
「僕はマティだよ。」
私が聞こうとしたことを悟ったかのように答えた。
この人は超能力者か何かか。
「さぁエミリー、起きたなら早く行こうよ。」
「えっ?ど、どこに?」
「エミリーは忘れんぼうだな。」
と言い、マティはドアを開ける。
どうやら花畑や空は、ずっと続いているように見えるただの壁だったらしい。
「ほら、置いて行くよ。」
そう言われて、私はマティに寄っていく。流石にこの空間で一人は怖い。
「ま、待ってよ。付いて行くから。」
「エミリーは良い子だね。」
マティは私を撫でようとしたけど、私はそれをサッとかわした。


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