終焉のエミリー

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3:シトリー:2018/02/06(火) 22:01

ドアの奥には薄暗い道が続いていた。
マティは、私がまるで居ないかのように一人でスタスタと歩いて行っている。
聞こえるのは、二人の歩く足音だけだ。
「…道、すごく長いですね。」
少しでも怖さを和らげようと、勇気を出してマティに話しかける。
「そうだね、エミリー。」
だが、マティは顔色を変えずにただそう答えた。

静か過ぎる。
「あの…なんで私の名前知ってるんですか?」
「エミリーを僕が知ってるからだよ。」
「じゃあ、なんで私を知ってるんですか?」
「…」
とうとうマティは何も喋らなくなってしまった。
静かな道に響く足音が、ただただ私に恐怖心を与えてくる。
この道に終わりなんてあるのだろうか?
もしかしたら、この人は私を連れ去ろうとしているのではないか?
そんな疑問が頭を掛ける。
マイナスなことばかり考えていると、余計怖くなる。
「…もう!この道、どこまで続いているのよ!」
終わりの無い道に対してか、答えてくれないマティへのイライラが溜まったのか、とにかく大声を出してそれを発散しようとした。
だが、そこでマティが居ないことに気づいた。
「マティさん?」
辺りを見回すが、暗くてよく見えない。
「ちょ、ちょっと!どこに行ったの!?」
「エミリー」
気づけばマティは私の後ろに立っていた。
「キャッ!」
私はびっくりして尻もちをつく。
「エミリー、壁を見てごらん。」
そう言いながらマティは私に手を差し出す。
「か、壁?」
差し出された手は取らずに、自分で立ち上がる。
壁を見るが何も無い。
「何も無いじゃないですか…。」
「ボタンがあるよ。」
壁に近き、目を凝らす。
よく見てみると赤い小さなボタンがあった。
「ホントだ…。」
「押してごらん。何か起こるよ。」
何かって、無責任な…。
私はボタンを押した。


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