第1話 囚人兵として
「お前は救世主の騎士団の人間ではないと言うのなら、我々と共に戦おうとは思わないのか? 」
私は『秘密任務』で北千住を調査していたところ、救世主の騎士団とは対立関係にある抵抗軍の幹部に声をかけられて、救世主の騎士団の構成員ではないかと疑われたのである。そして事実と相違する旨を伝えたところ、今度は抵抗軍への入隊を強く勧められたのだ。
「そのつもりはない。私も色々と忙しいので帰らせてもらうよ」
私はこの抵抗軍に入隊する気はない。早いところ、『秘密任務』を終えて『議長』に報告する必要があるからだ。
「入隊をしないなら、ここでお前には死んでもらうことになるがな」
「・・・・・・・・・・・私を消すと? 」
「お前が、ここ北千住で怪しい行動をしていたんだ。救世主の騎士団の構成員と疑われても仕方ないよな? 」
ここ北千住には抵抗軍の拠点がある。そこで怪しいと思われるような行動をとれば、確かに抵抗軍と敵対している救世主の騎士団と疑われても仕方がないことだろう。
「しかし幹部さん。私を救世主の騎士団の構成員と疑っておきながら、何故私に入隊を勧めたのかね」
これは、当然の疑問だ。
「疑問に思うよな? それは怪しい奴を捨て駒にして使うからだよ」
・・・・・・・・・・・・なるほど。
「つまり今この場で確実に死ぬか、又は戦場に行くかということか」
「物分りは良いみたいだな。お前は俺に捕まった時点で、もう逃げられないんだよ」
こうして私は抵抗軍囚人兵として入隊することになってしまった。だが、『秘密任務』による調査結果についても1日でも速やかに『議長』に報告しなければならない。しかし、囚人兵という扱いから分かるように、私は抵抗軍の牢獄に幽閉され、身体の自由を奪われてしまったのだ。