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抵抗軍の囚人兵となって3日目。
北千住に救世主の騎士団が攻め込んできた。それを迎撃をするため私にも出撃命令が下されたことにより、私もいよいよ戦うことになったのだ。
広場に囚人兵たちが集められ、それぞれ武器が手渡された。
「その杖は、魔法が使えない者でも一振りすることで火炎系の魔法を繰り出すことが出来るものだ。しかし、杖1つにつき7回程度火炎魔法を繰り出すとただのゴミとなる。無駄使いはしないことだ」
杖に関して正規兵による一通りの説明が為された。さらに、抵抗軍の軍服の識別についても説明がされ、将軍・佐官・尉官・下士官及び兵の4種類に分かれていること、最後に救世主の騎士団が赤いローブ姿で活動していることも伝えられた。因みに、囚人兵には軍服は支給されておらず、私服に青い腕章を身に付けることになっている。
そして、正規兵の説明は終わり、私たち囚人兵は隊列を作り最前線へ移動することになった。
「あんたは家族とかは? 」
突然、囚人兵の1人が声をかけてきた。私と同じ年頃の男性だった。
「姉と妹がいるが・・・・・・」
実は私の両親は、すでに他界している。
「あ、いや、家族構成を聞きたいわけじゃないが、俺の家族は皆、救世主の騎士団に所属しているらしい。もしかしたら家族と戦うかもしれないと思うと、やってられないんだよ。それによ、あいつだって高い地位になったと聞くのによ! 」
「なるほど・・・・・・心中察するよ」
これは国家同士の戦いではない。必然的に自分の大切な人と戦う可能性も高くなるだろう。もし今回の戦いで、姉や妹それに友人や幼馴染と出くわしたら、と思うと私も心が曇る。
「だが逃げれば正規兵に殺されるんだろ。じゃあもう俺の人生終わりじゃん」
彼の言うとおり、私の人生も終わりに近づいているのかもしれない。
抵抗軍の拠点から20分ほどかけて移動すると、前方からこちらへ向かってくる集団と出くわした。その集団は皆、赤いローブ姿で統一されていたのだ。