※
「ちょっと変わった小説だな。これはこれで面白い」
私は某小説サイトのとある小説を読んでいた。台本書きなのが残念なことだが、私には相性が良い物語である。だが、この作者は残念だ。このご時世に台本書きにて投稿をしてしまったがために、人生を壊されてしまうだろう。
「残念だな……。せめてご冥福を祈るよ。どこの誰が知らないが君は悪くないのだ」
それから数分して、その小説のスレには小説ではない書き込みがあった。
『 神聖小説守護教会の者です。貴方は【台本書き】なる悪魔と契約して、神聖な小説様を純潔を汚しました。その代償は高くつきますよ。待っていてくださいね 』
嗚呼。早くも奴らに見つかってしまったか。まあ仕方のないことだ。神聖小説守護教会というのは破防法の適用があるがために、宗教法人ではないものの、れっきとした宗教団体なのである。で、その信徒は日本国内だけで400万人いるとされる。自分たちの教義に合わない者は徹底的に殲滅するとのことで、毎年大勢の無辜を殺傷しているのだ。で、その教義というのが、簡潔に言えば台本書きをするなというものである。
『 この台本を見ている者も同罪です。いずれ代償を受けることになるでしょう』
私がネットを通じてこの台本を読んでいることが奴らにバレているのかは知らない。しかし、バレていたら地の果てまで追ってでも、私を殺そうとするだろう。
「私に手を出そうものなら多少の抵抗はしないとな……先輩としてね」
ある意味では、私は彼ら神聖小説守護教会の連中の先輩と言えると私は思っている。それ故になんだかんだ「抵抗」という言葉に酔っている自分がある。
「さて、そろそろ寝るとするか」
私は部屋の中にあるタンスを見つめてながら、ベットに入った。いざっていうときはタンスまで走る。まずはそれが第一歩。
第1話 終わり