第2話
『
丙「中々、僕は消えないな〜」
乙「だから何だよ。とっとと消えろよ」
甲「二人ともやめて」
動産甲がAからBに引き渡される日が過ぎても、動産甲は未だAのもとに有った。
丙「でも、僕が消えた時こそ、甲ちゃんもここから居なくなっちゃんだよ? 」
甲「……そうだね。丙ちゃんが消えた時こそ、同時履行の抗弁権という結界が消えて、私も今度こそ乙君たちとお別れになっちゃうのね」
乙「な、なにを言ってるんだよ。意味わかんねえことを言ってるんじゃねえよ」
動産甲が未だこうして乙たちと一緒にいるのは、弁済期にあるにも関わらずBが中々、代金を支払わないために、Aが同時履行の抗弁権を行使したためであった。だが、動産甲はBの債務不履行のおかげで、不動産乙とまだ一緒に居続けることができていた。そしてBが債務不履行だからこそ債権丙も消滅せずにいる。
2、終わり
』