コクった彼氏は肉食系でしたよ

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2:猫又◆j.:2018/05/26(土) 23:19

◇プロローグ 〜あぁ、初恋は、儚くも〜

 一日千秋という言葉がある。
たった1日を千回の秋が巡るほどに待ち焦がれる様子を表しているらしいその言葉を私は今、想い人を待ちながら身を持って感じていた。
 井上奏馬(いのうえ そうま)先輩。
神屋東中学校、男子ランキング3位。
男子陸上部に所属し、温厚でのんびりとした性格からか男子・女子問わず周囲からの信頼は厚い。特に目立つような行動はせず、裏方に回っている。引っ込み思案ではあるがそのお人好しさゆえに彼女を志願する女子は少なくない。
それが私の想い人、ソウマ先輩だ。
ここまで言えば分かると思うが、並の女子が手を出して良いお方ではない。
特に私のような根暗、コミュ症、友達0が近づけるような存在では絶対に……無い。
――ハズだった。

「そ、その……す、好きれしたぁッ! 付きゃってくださいッ!!」
 この盛大にコケたセリフを私が吐いたのは昨日。
人目につかない校舎裏に先輩を呼び出した時のことだ。
 もちろん期待はしていなかった。
どうせ何もしないで諦めるくらいなら告白して玉砕しよう。
先輩のことだ、告白したことで私の悪口をいう人では無いだろうし、
他の女子が何をウワサしようと私のイメージはこれ以上悪くなりようもない。
そう考えての決行だった。

とにかくその時は告白して玉砕してテキトーにごまかして帰るつもりだったのだ。
だが、その玉砕覚悟の告白に対して返ってきた言葉は私の予想の遥か上、
雲どころか成層圏まで超えて宇宙まで届くほどの答えだった。
『考えさせてくれないかな。明日まで。……僕も君となら上手くいく気がするんだ』

「クワァ――ッ!!」
 若干頬を染めながらそう言った先輩。
その顔を思い出して、私はもたれ掛かっていたボイラー施設の扉をガンガンガンガンガンと叩きながら、奇声を発する。
 そう。先輩は言ってくれたのだ。君となら上手くいきそう。と
それはつまり、そう、つまり、そういうことですよ、えぇ!!


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