【つねる】
「はよ…」朝の何故かどんよりとした空気の教室に俺の声が漏れる。
重いランドセルを机にドスンと置いて朝の支度を始める。
「よ、おはよ」そう声を掛けてきたのは雅充だった。「あぁ、はよ」俺は返事を返す。雅充はにやにやと笑いながら机の前に回る。「朝から元気ないねぇクラスのムードメーカーさんや」
「朝はやる気おきねぇよ…」口答えをしながら朝の支度を終わらせる。
__ガラッ__
教室の扉が開く音がする。反射的に振り返った。「…おはよ」そう言いながら無表情で入ってきたのは亜沙--…
俺はランドセルを後ろのロッカーに置き、亜沙の机の所へ行く。「よぉ、おはよ」「あ、カズ、はよ」亜沙はなんの抵抗もなく黙々と朝の支度をする。
俺は構ってもらえないのが嫌なのか変な気持ちになる。
ムィーン
「いたた、、何」俺は亜沙のほっぺたを横にのばす。そんな亜沙を見ながら俺は険しい顔つきでまたのばす。
「いたいって、、やめろー」亜沙が小さな力で俺の手を払いのける。
(こいつ…こんなことやられて何思ってるのか本当に読めねえ…)俺は小さくため息を吐くと渋々自分の席に戻る。
雅充が駆け寄ってきた。
「お前さぁ亜沙の事好きなん?」にやにやと笑いながら俺に聞く。ぶっちゃけそうだか正直に言うと後がめんどくさい。「いいや、仲のいい奴だと思ってる」「ふーん。つまんねえの」何を期待してたのか。雅充も席に戻って行く。好き、かぁ…あのポーカーフェイスの表情さえ読み取れれば俺を気にしてくれるか。
朝のチャイムがなる。授業の始まりだ。