「と〜お〜る!ひ〜ろ!あっ、はじめも〜!!」
そして相変わらず、緩い声でいくは呼び掛ける。
完璧に面白がられているようだ。
いくの声に、男子三人組はそろって振り返った。
尋の幼馴染み、春日部 比呂(かすかべひろ)。
ハルヒと何かありそう?な水谷 透(みずたにとおる)。
大して紹介する内容は無いが、この流れで行くといくに関係がありそうな及川(おいかわ)はじめ。
通学路、クラスが同じ六人は、自然と一緒に帰る流れとなった。
「なあなあ、再登校嫌やない?」
「とーる、ハルヒとどうなってんの?」
「なにもないっちゅうねん。尋と比呂は?」
「おい、今わざと話そらしたやろー」
……誰が何を言っているのか、分からない状態だ。
――しかし。皆が思い思いに会話を楽しんでいるから…これで良いのだ。
尋はそう結論付けて、会話に加わった。
「比呂〜、再登校一緒に行かへん?誰かと一緒やないとサボっちゃいそうやわー」
「なんやねん、サボるなっちゅーの」
続きの言葉を笑顔で待つ尋に、比呂は自分の頭をクシャクシャと掻き回して言った。
「……十二時半には、お前ん家ち行くから。忘れずに待ってろよ」
「比呂こそ忘れんといてよ?待ってるわ〜っ!」
ポカポカの晴れた日差し。まだ、少し冷たい空気。桜の花びらが散る季節。
――その場にいた四人が、ニヤニヤしながら見ていたことに、二人のヒロは気づかない。
Happy end