桜の舞う季節、春。
気持ちのいい朝。
「あぁ、デビュー日和だな…」
家の前で靴を履きながら私、吉川帆乃香は呟いた。
不安な気持ちも、心地よい風に吹き飛ばされて……
今日は中学校の入学式。
私立の受験に友達の、はるちゃんこと、飯田春日と合格した私は、今日から新しい学校の生徒だ。
友達は、はるちゃんしかいない。
確かに不安な気持ちもあるけど、大丈夫。
私は、難しい中学受験に合格したのだから。
そんなことを考えていると、時はあっという間だ。
気がつけば、目の前には学校が……
「ふぅ…」
私は深呼吸すると、ゆっくりと足を踏み入れた。
心配しなくていい。ここは受験に打ち勝った真面目な子だけが通う学校。
“今日から私はここの生徒なんだ……”