「はぁ…」
日が沈み出した午後5時過ぎ、一つの影がとぼとぼと動く
私は溜息をひとつ漏らした。
このため息に混じる意味は疲れではない。
同じ道、同じ風景、同じ家…毎日毎日馬鹿みたいに同じことを繰り返していることを不思議に思った。
コレではまるで迷路と同じだ。
作られた道をただひたすら歩き、壁にぶつかれば引き戻る、そして何も変わらない出口へと出ていく。
「ただいま…」
私は暗い顔をして家の中に入った
「…あれ…。おーい…」
家の中には誰もいなかった。
思えばいつもの駐車場に車がなかった。
きっと出掛けたのだろう
「…」
私は背負っていたカバンを乱雑にソファへ投げつけ、自分の部屋に向かった
「結局…なんも変わらないじゃん。
何が儀式だ…」
私は普通の人とは違う
「Creepypasta」という殺人鬼達の世界に住みたいといつも思っている少し路線からズレた人間だ
壁にはシンボルマークを書き、嘘か本当か分からない「Creepypastaのキャラを呼び出す儀式」を行っていた
私が溜息を付いた理由は向こうの世界に行けないからだ。こんな世界から早く抜け出したくて儀式をしている
「…ちょうど1人だし儀式するか…今日はサディちゃんにしよう」
私は儀式のやり方を記したメモを開き、準備をした
何回もやっているため必要な道具は頭の中にインプットされていたため、素早く始めることが出来る
「…」
私はサディを呼び出すために呪文を唱え始めた
サディというのは、幽霊の女の子で私が好きなキャラでもある
もし彼女に会えたらと毎回妄想を膨らませてしまうのだ
妄想をふくらませながら、いつも通りの手順で儀式を進めた
「…サディちゃん、いますか?」
私はポツリと呟いた
部屋の中はシンと静まり返っていた
「またダメか…もう諦めろってことかな、笑える」
そう独り言を呟きながら私は儀式道具を片した