ー結局何も無かったー
ー結局何も起こらなかったー
ー結局行けなかったー
私はその場にヘタリと座り込んでしまった
「もう無理だ
もうどうせ行けないんだ…」
震える手を抑えながら必死で感情的にならないように自分を抑え込んだ
「全く……。人間はなんでこうも諦めが早いんだか」
「え…?」
私は自分の目と耳を疑った
腕を組み白く発光し、フワフワと浮遊しながらこちらを見下ろす少女。
肌は白く長く腰まであるストレートな髪、左目は黒く何かドロっとしたものが流れている
間違いない
サディちゃんだ
私は確信した
しかしそんな中でも疑いの心を持ってしまっていた
もしこれが妄想だったら
もしこれが単なる一時的なものだったら
もしこれが__
【ピシッ!
おでこをいきなり小突かれた
「ちょっと!呼び出しておいてぼーっとするなんて失礼って思わないの?
全く…帰っても言いわけ?」
彼女は相変わらず腕組みをしたままこちらを見ている
「ちょっ、ちょっと!!待って!!
ご…ごめん…なさい…。これが現実なのかどうか受け止められなくて…」
「まぁ…気持ちは分からなくもない。
私だって来るのは緊張したし」
彼女はそう言うと私の目の前にふわっと降りて座った
座る姿はまるで天使のように美しく私は思わず見惚れてしまった
「せっかく来たのに疑われたら意味が無いからこれは先に言っておくよ、ここにいる私は貴方が作り出した妄想じゃない。絶対に」
そう言うと彼女は私の手を取り優しく握りしめた
私はとても驚いた、彼女が手を握ってきたからなのもひとつある
しかし、何よりも驚いたのは温かかったからだ
彼女はしんでいる、幽霊に温度などないと思っていたが彼女は違っていた。
とても優しく落ち着く優しさのある温かさだった
「どう?これで分かったでしょ?それから…さっきから貴方の後ろに隠れてるラザリーのこと気づいてる?」
「ラザリー…ちゃん…?」
軽く振り向くとそこには赤いワンピースを来た小さな女の子が抱きついていた
茶色く長い髪の毛はリボンで丁寧に縛られており、目はとても赤く彼女の幼稚さを表すかのように透き通るような美しさだった
「おねーちゃん!やっとラザリーのこと気づいてくれた!嬉しい!あのね、ずっとこうして欲しかったの!」
そう言うとラザリーは私の正面に歩いてきて、抱きついてきた
「?!……よしよし…。私もずっと抱きしめてあげたいって思ってたよ…」
ラザリーに優しく微笑みながら私は呟いた
実はラザリーのことを前々から知っていた
実は気配を感じていたのだ、しかしそれが何かは分からなかった
しかしクリパスだと信じていた
だから私は見えない何かに対し必死におままごとのようなことや、話しかけをしていた
今その願いが届いたと思った瞬間だった
私はラザリーの頭を優しく撫でながら彼女を優しく包み込んだ
「あの、いいかな?呼び出されたのは私なんだけど…。はぁ…
それよりも、名前何ていうの?」
「MK…」
「そう、MKね。
私は…知ってると思うけどサディ。今抱きついてる子も知ってると思うけどその子がラザリー」
「お姉ちゃん!ラザリー達と一緒に向こうの世界に行こ!ほら早く早く〜!!」
ラザリーは私の手を引っ張りパタパタと足を動かしている
「ちょ、ちょっと待って。私、そっちの世界に行けるの?!」
「えっ、行きたくないの?
行きたくないなら別にいいけど」
サディはニヤニヤと笑いながら私を焦らした
「今から…行けるの?絶対に?」
私は返答の結果が怖かったため恐る恐る問いかけた
するとサディは側により私の頭を撫でた
「そう、今から…絶対に私たちの世界に行けるよ。だからもうここの世界には帰ってこない。」