森の中は街外れの場所にあった
とても暗くジメッとしており、聞いたことのない叫び声や笑い声が響いている
「こんな所で怖がってたら他の場所じゃ生きていけないからね?」
サディとラザリーは慣れているらしく先をどんどん進んでいく
しばらく歩くと木が少ない場所にたどり着いた
「じゃあMK、早速やってみようか」
サディがそう言うと、途端にサディとラザリーの姿が消え、声だけ響いた
「今から実験を始めるよ、ここに悪霊達を呼び寄せたからドラゴンの力で一掃して」
「ちょっ?!いきなり過ぎない?!」
いきなり過ぎて私はどうすればいいのか焦っていた
何しろ今までそんな力があるなんて思ってもいなかったからだ
その時茂みからガサガサッととても大きな怪物が出てきた
それにつられる様に空から地面から木の中から、至る所から怪物が湧いてきた
まるで私は一つの角砂糖のように見えた
無防備な角砂糖に群がるアリのようだった
そんなことを思っている最中悪霊の1人が鋭い爪をこちらに向け襲ってきた
自分で言うのもあれだが、瞬発力はいい方だったためなんとかその攻撃を避けることが出来た
しかしヤツらに優しさはなかった
1人襲いかかって来たかと思ったら次は集団でかかってきた
一か八か、私は心の中でドラゴンのイメージを強く持った
すると体が黒い何かに包まれ自分の姿が変化していく感覚を覚えた
そして気づいた時には周りの敵は全員倒れていた
私は何が起こったか分からず辺りを見回していると、あることに気づいた
今見ている景色が高いことを
高い、高すぎる
すると後からサディ達の声が聞こえた
「これは…予想外だった…。こんなにデカくて相当な強さを持ってる…流石ドラゴン、MKドラゴンだね…」
ラザリーは目をキラキラさせこちらを見ている
「あれ、まさか自分の姿がどんな風になってるか分かってないわけ?…まぁ、見えないか。ちょっと待って」
サディはそう言うと目の前に大きな鏡の様なものを私の目の前に表させた
私は驚いた
体は黒く、頭は三つに分かれており首長竜のように首がとても長い。
金色の太く長い角に真っ赤な目、大きく紫の羽、ドラゴンと竜が半々でミックスされている姿だった。
身長は8〜10m近くあるだろう
何か言葉を発しようと思ったが言葉が話せない
しかしサディ達には伝わっているように思えた。
多分、言葉が話せない代わりにテレパシーのようなものが使えるのだと分かった。
「これが私なの?」
「そう、MKの力。ドラゴン。このやられた敵たちは皆MKの金色の炎にやられていたんだよ」
そんな話をしていると突然ラザリーが頭の上に乗っかってきた
「お姉ちゃんかっこいい!景色もすごくいいし、ちょっと温かくて気持ちぃ…」
この力は若しかしたら変なことに悪用されるのではと思ったが、考えすぎも良くないと思い忘れることにした
戻る時は意識を人間に集中させると元に戻ると言われ、私は元の姿に戻った