後ろで美弦がうるさいけれど、無視。
お皿を台所の流しに置いて、洗面所へ向かった。
……最後。
全て最後なんだ。親とこうして衝突するのも、きっと。
……嫌だ。なんて、一瞬思ってしまった自分がうざったい。
ちゃんと考えて決めたことなんだから。
わたしは、明日起きた瞬間……“未琴”ではなくなる。
……“ミコト”になる。
本当の自分でいて、さっきみたいに怒られるのも……一部の人から妬まれるのも、最後だから。
大丈夫だよ。
――大丈夫だよ。
鏡の前でペチペチと頬を二回叩いて。
部屋から取ってきたランドセルを背負った。
「行ってきます」
『お姉ちゃん、待ってぇ』
もう、仕方ないわね……と、いつも通り美弦を待とうとして…その必要は無いことに気付いた。
美弦は、友達と一緒に登校するんだったね。
なによ、もう。いつも、家を出るときこそは一緒だけど……すぐに友達の方へ行っちゃうのに。
わたしは今日も一人かな。
……なんて思いながら歩き始めると、すぐに声をかけられた。