茶味がかった髪は汚水で汚れ、透けたシャツは傷だらけの腹を見せている。
それでも尚、彼女の気高さは消えはしない。彼女の瞳は変わらず輝いている。
「どうして、こんなことするの…?」
────どうして、か。うん、不思議だよね。菅原さんからしたら、私がしている事は理不尽で意味不明なモノなんだろう。
でも世の中には、そんな不思議なことだって幾らでもあるのだ。
路地を歩いていただけで性的な暴行を加えられる人もいれば、ほんの遊び心で酒を飲んだ学生に轢かれる人だっている。
だから、ね。菅原さん。貴方が悪いわけでは無いの。そこは安心して。
ただ私が、貴方を嫌いなだけなんだから。