『医師と患者2』※グロ注意 &本文を一部引用
遺体はパームツリーなどに囲まれた豪華な霊廟に安置され、費用はすべて医師が負担した。
しかし葬儀が終わっても、医師の彼女に対する気持ちは変わらなかった。
彼女の家族は「この家にいると死んだ娘を思い出してしまうから、売り払って引っ越す」
と嘘をついて彼を遠ざけようとしたが医師は
「いや、それなら僕がこの家を借ります。たとえ買う羽目になってもね」
と言い張って聞かなかった。
1ヶ月5ドルの間借り賃に目が眩んだ両親は、しぶしぶ彼の主張を受け入れた。
これから行おうとしている医師の恐ろしい計画など知らずに。
(ここから本文引用。書き忘れていましたが本名は「彼女」「×××」「彼」「医師」で伏せています。)
彼は葬儀屋を買収して霊廟の中へ夜な夜な出入りするようになった。
彼は彼女の死体にホルマリンをたっぷり振りかけ、損傷した手足をスポンジで拭いて清めた。
そしてオーデコロンをくまなく振ったのち、滅菌した木綿で遺体を幾重にも包んだ。
また、死体の損傷や腐敗を抑えるための溶液を調合して恒温槽にそれを満たし、彼女をそこに漬けたまま棺に戻した。
2年間、医師はその霊廟へ毎夜通った。
が、ある夜医師は彼女が
「ここはいや。あなたの家へ私を連れて帰って」
と懇願する幻をみた。
彼は彼女の幻に「きっと連れて帰るよ」と誓い、ついに彼女の死体を霊廟から運びだした。
彼は婚礼用タキシードに身を包み、棺を毛布でくるみ、荷車に積んだ。
運搬中のアクシデントが度重なり、彼のタキシードは泥と、遺体から滴る液体でどろどろになったが、彼は意気揚揚と花嫁を、用意した「新居」へと運びこんだ。
棺を開けて彼は嘆息した。
「ああ、いとしい×××。長いこと放っておいてすまなかった。きみをもっと早く救いに行けなかった私に罰があたらなければいいが。美しい目がこんなにへこんでしまって、ドレスも朽ちて、きみの美貌に似つかわしくないよ」
医師は彼女の皮膚に傷をつけぬよう、細心の注意を払ってピンセットで朽ちたドレスの残骸を剥がした。
また、オーデコロンや香水入りの石鹸、ワインで充分に彼女を洗い、腐り落ちた眼球の代わりに義眼をはめ、鼻に副木をした。
石膏のデスマスクを作ろうと思い、彼女の髪や目鼻を守るため、油引きした絹で顔を覆ってから、蜜蝋と香膏をかぶせると、なんとその絹が石膏が固まる間に、皮膚にしっかりと貼りついてしまった。
しかしそれはまるで第二の皮膚のように美しかったので、彼は「彼女の新たな顔」としてその出来に満足した。
髪はグリセリンで光沢を取り戻させ、胸の上で組まれていた手は滑車をつかってもとの位置まで伸ばした。
内臓の代わりに吸収材を詰め、絹を全身に貼り、完全に滅菌処理をほどこし、ドレスを着せてキルト布団でくるんだ。
彼女は全身を宝石と絹で飾られ、化粧され、花で包まれて横たえられた。医師はその姿を、
「以前とまったく変わらない、輝くような美しさ」
だと思った。
彼は毎日彼女の髪を花で飾り、オーデコロンと香水をふりかけ、虫よけのため絹と蝋で縮んだ皮膚を補い、そしてその横で毎晩添い寝した。
そんな生活が7年続いた。