アルフィーネ 

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2:美香:2018/08/21(火) 17:38

ザァァァァァァァ――――――…

とめどなく降る雨。その雨に打たれながら私は歩く。

目的地など、なかった。雨粒が容赦なく私を叩きつける。

終わりの見えない迷路に迷い込んだ私を―――――誰一人として救うものはいなかった。

私はここで死ぬのだろうか。哀れな末路が目に浮かんだ。

耐え切れず、私は地面にしゃがみ込む。

消えたい―――――…その一心だった。


どれくらい時間がたったのだろうか。鈍い頭痛と共にゆっくりと立ち上がる。

目に映った景色は、何もかも変わっていた。

人も――――車も―――――建物も。ここには、何一つなかった。

ああ――――これは夢なんだ。そうつぶやき、染み渡る青空を仰ぎ見る。

「夢じゃないよ」

ハッと我に返り、声のしたほうを振り向く。

すると、さっきまでいなかったはずの一人の男が、私を見ていた。

男は静かに話し出した。

「君は――――消えたいと強く願った。だから消えたのさ。人間界から――――君の存在が。」

「じゃあ………ここは?」

恐る恐る、その男に問いかける。男は不敵な笑みを浮かべた。その笑顔から、得体の知れないものを感じ、背筋が寒くなる。

「異世界、さ…」

一瞬、沈黙が流れた。しかし私には、それが永遠のように感じられた。

頭が混乱し、錯乱して、私は訳が分からず、男に問い詰める。

しかし男は、二度と口を開くことなく―――――消えていった。


気が付くと、私は一人、広い広い高原に佇んでいた。

絶望のどん底に突き落とされた私は、これが夢であることを願うほかなかった。

醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ醒めろ――――――――………

そっと目を開ける。景色は変わらないままだった。時折吹く風が、私の髪を揺らす。

どうやらこれは、現実のようだった。


突然、空が闇の色に変わる。轟々と音を立て、闇の中から無数の黒い「何か」が飛び出してきた。

逃げる余裕も、戦う覚悟も、今の私には存在しなかった。

ただただ呆然と、その一部始終を眺めることしかできなかった。

黒い「何か」が私をめがけて襲ってきた。

もう駄目だと思った瞬間、ふと脳裏に浮かんだのは、ただ一人の友人の顔だった。

辺りが闇に染まる中、再び意識が遠のくのを…感…じ………た………


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