アルフィーネ 

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3:美香:2018/08/21(火) 17:39

再び意識が戻り、起き上がって辺りを見回す。

高原にいたはずの私は、いつの間にか小さな小川の傍に倒れていた。

これが―――――現実。

闇のように黒ずんでいた空は、真っ青な青空へと変わっていた。

私は特にすることもなく、ぼんやりと川の流れを見つめていた。

あの男がもう一度現れてくれたら、元の世界に帰してもらおう…

そう呑気に考えていた。


するとまるで私の心を読んだように、音もなく男が現れた。

心なしか、気分が少し弾んだ。淡い期待を抱きながら、私は男に話しかけた。

「ねえ、私を人間界に戻して」

私は男の答えを今か今かと待ち続けた。だがその期待も、希望の光も、次の瞬間には跡形もなく打ち砕かれてしまった。


「――――――残念ながら、それはできません」

「は…?」

男の言っている意味が分からなかった。

「なんで…どういう…こと?」

途切れ途切れになりながらも、必死で気持ちを落ち着けようとする。

「異世界に来たからには――――使命を果たさないと元の世界には戻れません」

「し、使命って…何?」

「………」

男は、何も答えない。言葉すら、発しない。

「…帰して…元の世界に…戻してよぉぉぉぉぉ!」

情緒不安定になった私は、泣きながら男に怒鳴った。

男は全く怯む様子もなく、静かに私を見ていた。

試すような、そんな瞳で。

「帰りたい…帰りたい…」

支離滅裂になりながらも、私は必死に訴えた。

男は相変わらずの不気味な笑みを浮かべ、一陣の風と共に消えていった。


「は、はは…」

元の世界にも戻れないという事実を知り、絶望した私は、もう笑うしかなかった。

異世界に連れてこられ、頼れる人もいない。仲間もいない。

それに………

私を愛してくれる人だって―――――いなかった。


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