まぁそんなヤツのことはよい。
私はメスから顔を背け、ふと視線を落とした。
するとそこには奴がいた。
「ぅぅうううう〜!」
そう。ニンゲンモドキだ。
何やら大層ご機嫌な様子で、こちらに突進して来ていた。
……もう一度言う。こちらに『突進』してきていた。
ワタシ、キケーン。ゼンリョク、バック、スル。OK?
「ふわあああああああああああああ!」
思考停止のち再起動。
危険回避のため全速力でズササササササーと後ずさりする私。
「ぅ……う“うううううう!」
加速するニンゲンモドキ。
すんでのところで回避する私。さらに追うニンゲンモドキ。
そのままグルグルとその場を回転しながら、私とニンゲンモドキは激闘を繰り広げ、結果として普段運動していなかった私がニンゲンモドキに組み伏せられた。
こんなことなら普段から縄張り争いに参加しておくべきだったと思うも時すでに遅し、顔に手をかけられ、そのままニンゲンモドキに捕食されそうになる私。
だが、そこで思いもよらない助けが入った。