「ない…!」
私は、次の技術の準備が無くなっていることに気づいた。犯人は、もちろん分かっている。――――真理愛たちだ。どうすることもできないので、なにも用意がないままパソコンルームへ向かった。
「忘れた!?なんなんですか!川島さん!!あれほど忘れるなと言ったはずなのに…!」
私は技術の先生に叱られた。クラスメイトの視線が痛い。そこにはいじめグループも入っていた。
「もう…須田さん、プリント見せてあげて!」
笑い声を受けながら、私は黙って席につく。すると、隣の須田秋音が、
「きゃはっ!これ学年LINEで流したらどーなるんだろ!いつも真面目な優芽が忘れ物したって知ったら!」
と、スマホをいじる真似をした。
「や、やめ…」
私は「やめて」と言おうとしたけど、その瞬間、誰かに腕を捕まれる。
「言っとくけど、あんたに拒否権なんて無いんだから。」
その声は、山田雛だった。
「プリント見せてもらってるんだからぁ、感謝ぐらいしなよぉ?」
その冷たい目は、私を見下していた。
雛…なんで私を裏切ったの?
そう聞こうと思ったが、答えの予想がついてしまったので、諦めた。