妹紅〜誰よりも紅く染まった人間の話〜[東方プロジェクト]

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
3:詩乃:2018/09/14(金) 21:47

その少女は、肩よりも短い黒髪を無造作におかっぱの形にしていた。
少女は毎日、薄汚い一枚の着物で井戸から水を組み、その水を生活や食などに使っていた。
しかし、ある時、かぐや姫があまりにも外を散歩すると言って聞かないので、仕方がなく
翁は、人の少ない夜、それも、最も一目につかない時間につれだした。
かぐや姫は気に入ったようで、無表情な顔は少しだけ笑顔が戻っていた。
そんな時、少女は足りなくなった水を補給しようと、村の井戸までやってきていた。すると、
かどをまがってきたかぐや姫とばったり。
翁は慌てて、
「これ、そこの女、姫様が外出していたこと、口外してはならぬぞ。分かっておるな。」
少女は、こくっと頷き、なんのことかすらもわからず、いうことを聞いていた。
かぐや姫は何も言わず、少女の前にしゃがみ込み、口角だけをゆっくりと上げ、
翁に聞こえない声で、

村の人間達は、自分勝手な人間が多いけれど貴女は飼い主以外に命令されてもいうことを聞く頭の良い犬なのね。

そう言ったかぐや姫の顔は人を見下すように袖で口を隠しスッ、と立ち、翁と共に行ってしまった。
少女はかぐや姫を好きにはなれそうもなかった。


全部 <前100 次100> キーワード
名前 メモ