車持の皇子は、はなから蓬莱の玉の枝など探しに行くつもりはなく、案の定、一目につかない場所で身を隠し、
職人たちに作らせた。
その間、車持の皇子は、妻や子供達にすら会わず、ただ職人たちと黙々と偽の枝作りに励んでいた。
そして、他の四人たちが亡くなったり、諦めている中、車持の皇子は、
力作の蓬莱の玉の枝を持って、翁の家へいくと、みんなの知っているとおり、
職人たちが礼をもらってないと、押し寄せる。
はなから結婚する気の無かったかぐや姫は翁に、職人たちに多額の例をさせると、安心したように、頬杖をついた。
結局、車持の皇子は、帰ってくることはなく、一説では、あの偽物を作ったと言われる家へ隠れただとか、
山へ行って帰ってこなかったという。少女は父親さえも侮辱し、見下し、恥を欠かせた輝夜を許す気など
到底なく、かぐや姫を恨み、憎んでいたが、村では有名な貴公子だったこともあり、
この家に泥を塗る用では困る、と行くことで、母親や姉、兄たちに無理やり謝る、なんてことについて生かされた。
とは言え、実際なところ、母親がかんがえているのは金のことだろう、と少女は思った。
始めてはいる翁の家は大きくて、憎んでいる相手の家とはいえ、このようなきたない着物一枚で入っていいのか、
躊躇ってしまうほどだった。
少女は翁に通されると、かぐや姫の目の前の座布団に座らされ、
母親たちは座るや否や、頭を下げ、土下座し、
「このたびはとても御迷惑をお掛けしまして、何ともうしていいか、滅相もありません。」
お金の為とはいえ、ここまでされては、頭を下げないわけにもいかない。
姉たちは、一人づつ申し訳ありません、と頭を下げるので、これまたむしすることもできず、
小声で、
申し訳ございませんでした、そう言って頭を下げた。すると、
無関心だったかぐや姫が、こちらを向いて、
その、一番小さいおなごを連れて参れ、なんて言われたらしたがうわけで。
ゆっくり歩いていると、早く行きなさい、なんて母親が後押しする。
仕方がなく早く歩いてたどり着くと、
輝夜「そこに座れ。」
どこまで偉そうなのよ。そう思っていても人間そんな簡単ではない。
黙って従うとまたあの嫌いな笑顔で、
「まさか貴女、あの男の子供だなんてねぇ。」
すかさず、悪いでしょうか?と返す。気の強さは一、ニを争うであろう少女は、たまに頭より口が早いことがある。
「ふふ、そう言わず。ねえ、何で謝ってると思う?貴女の家族は?あの馬鹿な男のせいよねぇ。」
し違う、
と言おうとすると言わせまい、と輝夜が続ける。
「謝るのなんて当たり前でしょ。小細工なんかで騙したあの男が悪いんだから。」
その瞬間、少女は涙目になりながら輝夜を殴ろうとする。しかし、それを止められてしまう。輝夜は、
もういいわ。お帰り頂いて。そういうと一家は追い出されてしまった。