負けた者は魂を奪われる。
彼らはそれを今まで一度も教えられたことがなかった。
しばらくしてようやく、少年らの内の1人が絞り出すように言葉を発した。
「失う?」
全員が彼の方に視線を移す。
「魂を?」
その顔にははっきり悲痛の色が浮かんでいる。
少年はそこから先が続かないようだった。言葉を探すように黙ってしまう。
少しの間が空いた。
他の少年らは皆んな俯き、先程の仲間の声を待った。
「それはつまり」
とうとう彼は口を開いた。自分の目の前に立つ老教皇を見据え、今度ははっきりした口調で言う。
「教皇になることができなかったら、本当に、私達が生きた意味は無いと?」
再び沈黙が訪れた。