1.新しい中学生ライフ
桜並木をママとパパと並んで歩く。
新しいスクールバッグを握って。
前を歩く先輩たち…。
「かっこいいわねえ。先輩たち」
すると、後ろから女子の黄色い悲鳴が聞こえてきた。
振り返ると、隣の家の幼なじみ、浜名大輝くんが走ってきた。
「莉乃、入学おめでとう」
わたしは紅城莉乃。
今日、私立根野川学園中等部に入学しましたっ!
「ありがとう!」
「よく似合ってるよ、制服。じゃあ後でね」
手を振っていると、後ろの女子のコソコソ話が聞こえてきた。
「誰?あの子。大輝くんだって…」
「後輩のくせに…!」
まあ、幼なじみだからね…。
大輝くんは幼なじみで、中等部二年生の先輩。
ママとパパが仕事で帰りが遅いときはお泊まりしたりしてたな〜。
多少の冷や汗を感じながら教室に向かう。
「じゃあ莉乃。ママたちも別室みたいだから行くわね。ちゃんと友達作るのよー!」
「分かってるって!」
一年二組…。
ドアを開けて入るけど、もちろん知っている子はひとりもいない。
ここは偏差値がすごく高い。
わたしが通ってた小学校の子はみんなそろって最寄りの市立中学校に入学した。
まあ、無理はないけど。
席につくと、前の席の子が話しかけてくれた。
「よろしくね、アカシロさん!」
「アカシロじゃなくて、ベニシラだよっ!よろしくね!」
「あっ、ベニシラ…。ごめん…」
まあよく間違えられるから慣れてるけど…。
すると、担任の先生が入ってきた。