一方、STAR事務所のプロデューサー、緒方(おがた)は、アイドルの星を見つけるために、街に出ていた。
……が、本人のこだわりが強すぎる故、中々スカウト候補は見つからずに居た。
「今日も切り上げか……」
疲れ果てた緒方が、そう呟いた時だった。
目の前を通った、中学生ぐらいの少女。少女は誰が見ても分かる程につまらなさそうな顔をしていたが、変わり者の緒方にはそれが魅力的に見えたのだろう。
考える間もなく、緒方は少女に向かって歩いて行った。
「ねえ、君」
「……ん?」
ポケットに手を突っ込み、緒方をじろりと見つめる少女。緒方は一瞬怯みそうになったが、それを堪えて続ける。
「私はこういう者なんだ」
そう言いながら、緒方は少女に名刺を差し出した。
緒方の雰囲気はまるで胡散臭さの塊だったが、「STAR事務所プロデューサー」と書かれたその名刺を見て、少女はとりあえず彼を信用したようだった。
「ああ、本物なんだ。で、なんか用?」
「実は……」
―――君を、アイドルにスカウトしたい。
その言葉を聞いた少女は、少し驚いたように目を見開いた後、鋭い目で緒方を睨みつける。
「はあ?」
「ひっ! す、すみません……」
怯えた緒方を見た後、少女は面白くなさそうにため息をついて、名刺を鞄にしまった。
「もういい。帰る」
「ご、ごめん! もう一つだけ聞いて!」
くるりと背を向けて歩きだそうとした少女は、緒方の声を聞き、足を止めた。
「アイドルになろうって思ったら、事務所に電話してくれないか!?」