普通が一番!平凡が一番!……だよね!?

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3:咲◆n6:2018/12/30(日) 11:51

キーンコーンカーンコーン───

学校中にありがちなごく普通の、下校の時間を告げるチャイムが響き渡る。
ギターを弾いていた手を止めて時計に目を移したが、時計の針はもうとっくに最終下校時刻を通り過ぎて、まだ針を動かしている。

「おい軌羅〜。帰るぞ!大丈夫か?疲れてるなら無理しなくていいんだからな」
「あ、あっ!はい!全然大丈夫です」

ボーッと時計を見ていると、突然部長が顔を覗き込んできた。心配そうな顔で僕を見ているが、ただ単に家に帰るのが憂鬱なだけだ。
まぁ、何で嫌かは後に分かるだろう。

部員の皆と分かれ、家の方へ向かう。下校時刻を過ぎたと言ってもまだ空は明るい。
丁度夕暮れ時……夜と昼が混じり合うような、オレンジと深い青のグラデーション。雲がそれを引き立てるかのように真っ赤に、場所によってはピンク色に染まっている。

「綺麗な空だな」

そう呟き、少しだけ寄り道してみようかと近くの神社へ向かった。ちょっと前まで寒くて仕方なかったのにもう暖かい風が吹いてくる。長い階段を登って、街全体が見える高い神社だ。

夕焼けはさっきよりも綺麗に燃えていて、素朴で何の飾り気も無い街が良く見える。ご察しの通り、此処はそんな都会でもない。寧ろ世間一般から見たらかなりの田舎だろう。
何も考えず階段に座って、陽が沈むのを見ていた。


「軌羅……軌羅!目を覚ませー!」

気が付くと辺りは真っ暗。いつの間にかもう夜になっていた。強引に肩を揺さぶられ目を覚ましたが、暗くて明かりのない神社な為見ただけでは相手が誰かわからない。
まぁ声的に和夜さんだろうけど。

「すみません。少し寝てました。」
「良く此処で寝れたな!よし帰ろう!多分ご飯ならある!」

また根拠の無い自信で満ち溢れてるなこの人。少し溜息をついて、立ち上がる。階段を降りたら街灯の光はあるものの、結構暗い。直ぐに家だから大丈夫ですけどね。

僕の一番嫌いな場所。なるべく誰にも会わないように家に帰りたいものだ。


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