>>30
言葉変やったなぁ、ごめん、
(訂正版)
「ただいま」と小さく呟きながら家に入っても、「おかえり」とかえってくることはない。
いつもの癖だから、これは仕方ないんだ。
だって癖はなおしにくいから…。
バックを放り投げるとほぼ同時に、スマホを取り出しいちかとのトーク画面を開いた。
「…いちか、、今平気かな」
そんなことを言ったのは口の出まかせ。
そんなことも気にせずに、私は迷わず通話のボタンをおした。
「どーしたのっ?かれんたん、珍しいね」
わずか数コールでプルルという音は切れ、私の大好きないちかの声がした。
「い…ち、かたん…、うち、うちっ…」
久しぶりに声を聞いて安心したせいか、気が緩んだのか、こらえてた感情が一気に溢れ出す。
ぶわっと滲んだ涙はとまることなく、私の頬を伝う。
「いちかだよ。…どうしたの?かれん、大丈夫?」
私の異変をすぐに察知したいちかは、いつも大丈夫だよと言ってくれる。それを聞くと、少しだけほっとするのはまるで魔法のようだ。
そんな中嗚咽をこらえながら、何とか言葉をつなぐ。
「きらわ、れた。また1人になった。昔みたいに…まえ、っみたいに。やだよ、1人…だれも、うちのことなんてっ…」
頭の中がごちゃごちゃしていて、何を言ってるのかじぶんねもよくわかっていない。
ただただ、でまかせといってもいいほどに口が勝手に動いていた。
「違う、かれん、落ち着いて。何でそうなったの?」
「えっとね…」
それから私はなぜこうなったのか。合唱祭の練習の出来事。みんなから悪口を言われていること。
そして、自分は1人だと思うと全く違う人のように怯えきってしまうことを打ち明けた。