2月中旬。早い所では桜の花も開花している時期だ。
俺は、親友の河ア奏佑と、近所のゲーセンに来ていた。
「あっ、ちょっ、ああー!また負けた…」
「よっしゃ!」
……まぁ、こうしているとごく普通の男子中学生である。見るからにリア充の奏佑と、人間の底辺である俺が一緒に格ゲーをしていても、周りの奴らも自分のゲームに夢中で、全然気になってる様子はない。
あ、ちなみに勝ったのは俺な?
奏佑は、こういうのが抜群に下手なのだ。今のところ俺に勝てたことは一度もない。
「もう諦めろよ」
「いや、お前に勝てるまでは……!」
そして負けず嫌い。ホントもう諦めろよ。手が疲れたし、喉も渇いたし…。
俺には一生勝てるわけないのだから!
……まあ、冗談は置いといて。
喉が渇いたな。かれこれもう2時間は飲んでない。買いに行くか。
「俺、飲み物買ってくる」
「おお、じゃあ俺コーラな!」
なんでお前の分まで……まあいいか、近いし。
自動販売機はゲーセンの中にある。俺はそこで、コーラと水を買った。コーラは120円か……。奏佑には200円返してもらおうかな。労働代も含めて。
「80円儲かるな」
「あっ、ちょっとそこの貴方ー!」
……ん?
振り返ったそこには、サングラスをかけた20代くらいの綺麗な女性がいた。
「貴方、アイドルにならない?」
…………は?