30分ほど車に乗り、事務所に着いた。
建物の外観はまあ……なんというか、立派だった。語彙力無くてごめん。でも、口をあんぐりと開けて、奏佑と二人で揃って固まるぐらいには立派だと思う。
正直、この建物が凄すぎて、周りにある建物が色褪せて見えてしまう。周りの建物も結構立派なのに。
「でけぇ…」
「さあ、入るわよ」
なんとか口を元に戻し、宮坂さんに続いて中に入る。
中は……うん、省略。立派って事で納得してくれ。
「さてと……。透羽くんはちょっとカットしましょうか。その後、二人とも少し弄っても良いかしら?」
「は、はい」
俺が頷くと、宮坂さんは着いてきて、と歩いていってしまった。どもってしまったのは内緒だ。髪の毛を切るのは何年振りだろうか。
俺たちは顔を見合わせて、慌てて宮坂さんについていった。
宮坂さんが入った部屋に俺たちも入ると、宮坂さんがカットの準備をしていた。あれ、宮坂さんが切るのか?
「宮坂さんがカットをするんですか?」
あ、奏佑が同じ事聞いた。
「私は美容師の免許も持ってるから大丈夫なのよ」
すげぇ。
でも、今更だけど髪の毛切る不安になってきた。今までは髪で顔を隠す事が自己防衛みたいなものだったからな。
と思っても、今更遅くて。
髪、約五年ぶりに切りました。セットもしてもらいました。でも……。
「んんん?」
鏡を見て、困惑した。
嘘だろ?俺、いつのまにか整形しちゃってた訳じゃないよな?
「透羽〜、どうだったー?ってやば!?」
奏佑がなんか叫んでいる。
「ふふふ、私の傑作よ。元はこんなに美形なのに、隠しちゃうなんて勿体ないからね」
宮坂さんが自慢げに話している。
そう。
見た目が少し良くなってるのだ。
「いや、少しどころじゃねえから!そりゃ、元は良いとは思ってたけどさ、俺、ここまでの美形の奴、今までで見た事ないからな!?」
……奏佑は何を言っているのだろう。そりゃあ、良くはなったが、実際にテレビに出てるアイドルとかに比べたら、全然パッとしないと思う。
ていうか。
「奏佑、お前の方がカッコいい」
さっきまでも十分イケメンだったが、宮坂さんに軽くメイクとセットをしてもらって、更にイケメン度が増していた。
「さてと……。二人ともとってもカッコいいわ。特に透羽くんは見違えたわね〜!私のおかげね。じゃあ、いきなりだけど、富樫社長に会いに行くわよ」
この短期間でよく分かった。宮坂さん、かなりのナルシストだよな?