続きです。。
それからはどうにか食べて、自由時間を過ごす。
珍しく、この学校の自由時間は1時間半だ。
食事を終え、自由時間、、。いつも通りに図書室へ駆け込む。
「昨日の続き読まなくっちゃ。」
小声で言ったその声はもちろん誰にも聞こえない。
スーッと扉を開けると大体見慣れた風景。本が並んだ棚といつも通りの人。
たまに来る人も、もう気にならない。
読みたいの本の本棚は、入ってから一番遠い奥の本棚の上の段だ。
いつも通しても届かないからと、脚立をつかって取る。
今日は届くような気がして頑張って手を伸ばす。
「うーん…」
一生懸命背伸びをし、腕を伸ばす。やっぱり無理か、そう思った時見慣れた手が私の手の横を素通りし、
本を取る。
「取りたかった本ってこれだろ?」
そう言って笑うのは、幼稚園の頃から知っている神田悠哉(かんだゆうや)だった。
悠哉はいつもイジワルをしてくる。名前弄りはいつものことだ。
「さくらの木のくせにこんな段も届かないのかよ!」
そう、これだ。図書室という事を考慮して笑いを必死で抑える悠哉。
まったく、ウザい以外の何でもない。
「読むからとりあえずその本返して!」
大声を出すのは流石に迷惑だろうから、小声で必死で訴える。
「はぁ?まずお礼だろ?ありがとうございます悠哉様ってさ!」
はぁ、、調子にのる悠哉に流石に怒りが湧いてくる。
このイジワルな顔、ニヤニヤして、、。そう思いつつお礼を言う
「はいはい、、ありがとうございました。本、渡してくれる?」
「やだねー!心がこもってない。あと、悠哉様って言いなさい!」
「うっさいわねー!上から目線で物言わないでよこの脳筋!」
「脳筋だと!?この…」
そこでピタリと会話が止まる。
悠哉の顔を見ると明らかに嫌な予感がした。
まさか、、。
「見たければ取ってみろよ〜!」
やっぱり、、小学生みたいにはしゃぐ彼を呆れた顔で見たあと、
「別の本でも読むか」と、ボソッと言って悠哉から離れた。
神田悠哉、、あいつはずっとこんな感じで変わらない。
運動神経だけが良い彼は、女子から人気。成績と態度は最悪だが、
ムードメーカーとして男子からもウケがいい。
中学で離れてから、高校に入って奇跡的に再開した私達は、そこから毎日こんな感じ。
「最悪よ、、。」
悠哉に聞こえるか聞こえないかの声で言ったこの言葉は静かなこの図書室に消えていった。
-1-日常-終了
-2-キモチ-に続く…。