誰も見た事のない景色を描く

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2:匿名:2019/02/27(水) 16:50

美術部に入ってから一年半程だった夏の頃、そろそろ先輩方が引退する時期となった。
手取り足取り教えてくださった仲の良い先輩もお別れかと思うと少ししんみりとする。

「先輩、今日までお疲れ様でした」

「うん。創くん、これから美術部引っ張っていってね」

「はい……ん?」

「え、聞いてない?創くん美術部の部長になったんだよ?」

「ま、マジすか…」

「そうそう、だから明日から頑張ってね」

「は、はい…」

そう言って廊下で別れた。
マジかよ…俺部長かよ…あ、でも部長になったってことは準備室も入り放題なのかな?
俺らの学校は何故か美術準備室に無断で入ってはいけないという決まりがあるのだ。でも、美術部の部長なら鍵も持てるし先代の部長も結構入ってた記憶はある。
確かあそこには歴代の先輩方が残していったキャンバスとか、スケッチブックとかが残ってるはず…。
元来、絵画を鑑賞することが好きな創にとってはそこは宝の山のような場所で。
ついに入ることができると思うと誰もいない廊下で小躍りしてしまうレベルだ。誰かに見られたら黒歴史になっていただろう。まぁいい。とにかく明日からが楽しみだ


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