<第1章 ハチミツの夢>
…ハチミツは嫌いだ。元々甘いものとかを好きな性質(タチ)じゃあないけど、あれは本当にダメ。
妙に甘ったるいし、頭が痛くなる。…それに、「あの時」を思い出す。
『ほら、雛乃。あんたも一口ぐらい、舐めてみたら? 絶対気にいるから、ね?』
…あんなもの、僕にとって大嫌いで思い出したくないものだってのに。
どうして僕は今、ハチミツの夢を見たと思うのだろうか?そんな確証は何処にもないし、第一僕が認めたくない。
そもそも、ハチミツの夢って何だ?今の夢、ハチミツが出て来た記憶さえない。というか今、僕は夢を見ていたのか?
…訳が解らない。今日は久しぶりにまぁまぁな日にしようと思っていたのに。
いっそ、もう一度此処で寝てしまおうか…
「…おい、オマエ。こんな生活で本当に良いと思っているのか?」
「…え?」