「……さん…ナギさん…!」
私は誰かに呼びかけられる声で目が覚めた。
「ナギさん…!大丈夫?」
チヤが私を心配そうに見ていた。
「ち、チヤさん……ここは…?」
私はあたりを見渡した。チヤと私以外にも複数人の人がいて、みんな私と同じように混乱した様子だった。
「ここは命令2を行うところだよ。でも、新しく会う人もいるから情報交換をする時間を与えてあげるよ」
クマがチヤの代わりに答えた。
「く、クマ…!命令2の内容って……?」
「それはぁ教えられないよ。そんなことよりも情報交換……自己紹介をしておくといいさ。
これから協力していくことになるからね。
……生きていれば…だけどね。
それじゃぁ俺は失礼するよ」
クマは質問をする時間を与えずにさっさと消えてしまった。私だけではなく、他の人たちも呆然としているようだっ
た。
その中でも、スーツ姿のしっかりとしたような風貌の男性が皆に話しかけた。
「敵の言うとおりにするのは悔しいが、情報交換は必要だと思う。自分がなにものか。
ここに来る前、何をしていたか。命令1の内容とか…。
最低限の情報でいい。初対面の人を怪しんで自分のことを言いたくないのは分かる。
だからこそ、皆を信用して言ってくれる人はいないか…?」
私たちは俯いたままで誰も言おうとしない。
「私……言ってもいいです」
小さい声だが確かに聞き取れた。
「私、皆さんのこと信用してみます!」
そういって立ち上がったのは私と同じくらいの年齢に見える、制服姿の女の子だった。