「焦っちゃだめ、焦っちゃだめ、焦っちゃだめ」
私はそう自分に言い聞かせる。
自分では丁寧に探しているつもりなのだが、自然と手が速く動く。
「ぬいぐるみには鍵なかった…」
キョウの足元にはズタボロになったぬいぐるみがいくつも落ちていた。
「う、うそ…。どうします?隣の部屋に移動しますか?」
私は探す手を止めることなく、早口で聞く。
「いや、移動する時間が無駄」
「そうですね、ここに鍵があることを願って探しましょう」
私は一つ棚を探しおえると、すぐに隣の棚に移った。
何かのホルマリン漬けがあったが、それに驚いている暇なんてない。
「なにそれ…気持ち悪いね」
キョウはホルマリン漬けのビンを持ち上げた。
「はい、なんなんでしょうね」
私はホルマリン漬けを気にしている場合ではないと思い、そちらを見ずに作業品しながら返事をした。
「割ってみようか」
「な、なんでですか!?」
私は思わず手を止めて、キョウの方に振り返った。
「鍵が入ってるかも」
キョウはビンを持った手を振り上げると、床にビンを叩きつけた。
床に濁った液体が広がる。
「きゃあ!!」
私は声をあげて後ずさりをする。
キョウは構わず、床に広がったものを見ていた。
「あっ」
キョウは何かを見つけると、一瞬躊躇ったあと、液体の中に指を入れて何かを拾い上げた。
「なんですか?それ…」
「お前、たちは…誰を……こ、ろした?って書いてる」
キョウは私にヨレヨレになった紙のようなものを差し出してきた。
それには薄くなり、液体でにじんだ文字で【お前たちは誰を殺した?】と書いていた。
あ~!ミスりました…
「そちらを見ずに作業品しながら返事をした。」
ではなく。
「そちらを見ずに作業をしながら返事をした。」
です! すみません汗