*~私~*
「優しいよね、殊浬ちゃんは」
「掃除も交代してくれるしっ!」
「殊浬ちゃんは絶対断らないもんねぇ」
私、坂牧殊浬に対しての評価はこんなものだ。
誰にでも優しくて、決して断れない。
良いように利用できる。
めんどくさいことを押し付けちゃえ。
────みんな、自分勝手。
私の気持ちなんて知ろうともしない。
でも、嫌われたくないから、私はまた仮面の笑顔をつけて。
「良いよ、私がするよ」
そんな事を言ってしまうんだ────。
こんな自分なんて、誰よりも自分が嫌いだ。
押し付けられたプリントをまとめながら、私はそっと嘆息し、息継ぎをする。
教室は、いつも息苦しくて、胸が痛くなる。