-幼少期-
僕は本当に悪ガキだった。
「はよ!取れるもんなら取ってみろよ!」
人の所持物を強奪しては泣かせて楽しんでた。相手に虫を付けて嫌がらせ、友達をパシリにしてはこき使って、その度に先生、親に叱られてた。
その頃、僕には大嫌いな奴がいた。
俺の敵とも言える。「細雪 来夏」っていう女。本当に嫌いな奴だった。僕のやりたいこと全部阻止して、チクって、正義感の強い女だった。僕は大嫌いだったのに、みんなの中心にいるから、益々気に食わない。いなくなればいいのに、と思ってた。
「ほら!カエルだ!きもちわりーwww」
「ねぇ、やめなよ」
「はぁ?なんだお前、邪魔すんなよ」
「いや、関係あるんだけど」
「どこがwww」
「いや、この子知らないけど、お前が嫌いっていう共通点では仲間なんだよね」
僕は、あれほど侮辱されたことが無かったから、本当にムカついた。
だから、いじめるターゲットを来夏にしたのだ。
上履きを盗み、クレヨンを折り、給食を零し、不潔な掃除をやらせようとした。グルの二人の友達と、散々蹴散らした。
この時点で俺らはクラスでかなり嫌われていたが、俺は特に唾棄されていた。
そんなの、どうでもよかった。
来夏は意外と服従した。きっと、周りの友達が虐められるのが嫌で、逃げて行ったんだろ。所詮そんなもんだ。せいぜい苦しめばいい。
それなのに、来夏はいつも笑顔だった。それも、悪魔のようににやついているも、爽やかで魅入られそうな表情だ。
悔しい、悔しい!あああ、もっと嫌がれ、苦しめ!
そう思っていた。
「大槻、校長室に来い」
俺のしたことは全てばれていた。
「やっぱりチクったんだな、来夏の取り巻き・・・」
僕のしたことは、親だけでなく学校中に広まり、みんなから唾棄された。
来夏は逆に、みんなから慕われ、擁護され、歯向かえない立場へと昇りつめてしまった。