「あーおっ」
帰り道、1人の少女が碧に声をかける。
「夏湖…」碧があからさまに嫌そうなな顔をする。
雪代夏湖(ゆきしろ かこ)
夏湖は碧の隣の家に住む幼なじみ。
同い年だが夏湖は違う学校に通っているため
最近顔をあわさなくなっていた。
会って早々に夏湖は言う。
「ウチのママたちまた喧嘩してんだよー!
毎日毎日うるさいったら!この前なんか…
ん?何だっけ…。あ、あれだ!
パパがゴルフクラブをね買ったの。
12万円のやつ。もーママ大激怒で困っちゃう。
あと、私のテストの点数が悪くて喧嘩になった笑
パパがママに言ったの。お前の育て方が悪い!て。
で、ママが何で私ばかりを責めるの!
あの子があんななのはあなたのDNAのせいよ!
って!普通さぁ本人の前で言うかなって思うよっ」
一気に夏湖は愚痴を言い切った。
夏湖も恵まれない環境に育っている。
夏湖の母は幼い頃に亡くなった。
そのため夏湖は父親についていくことに。
その父親が今の母親と結婚。
その義母は夏湖のことを邪魔者にしている。
「大変だな」碧はその一言夏湖に言った。
「碧は?おばさんたち、どうしてんの?」
夏湖の言葉に碧は何も答えずに前だけを向いた。
「そっか…」夏湖も理解したらしい。
碧も夏湖も親の愛情をうけることなく育ってきた。
そういう意味でいえば碧にとって夏湖は
唯一の理解者と言えるのだ。
でも碧はそんな夏湖にでさえ弱音を吐かなかった。