緩莓がいない教室は、とんでもなく寂しかった。
・・
みんな普通に過ごしている…いや、過ごせているふりをしている。
緩莓と仲がよかった結菜は自分の席に頬杖をつきながら座ったまま動かないし、緩莓の事が好きなしえるくんは暗い顔をしている。
そして、俺は───……
ぼーっと、空を見つめていた。
どこまでも青く、雲一つない広い空。
ああ、この空をたどって緩莓のところに行けたらいいのに。
俺は、今とんでもなく後悔している。
最後に手を繋いでおけばよかった。
最後に緩莓のことを抱きしめておけばよかった。
最後に“大好き”の一言くらい言えばよかった。
なぜ緩莓を泣かせてしまったんだ。
もちろん俺は、緩莓の怒った顔も泣いた顔も微笑んだ顔も照れている顔も、びっくりしている顔だって全部愛おしく、大好きだ。
でも、俺がいちばん見たかったのは、
いちばん好きなのは、
緩莓の眩しいくらいの笑顔だったのに。
(泣)