赤い糸

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280:リコピン◆z.:2019/09/14(土) 16:19


>>279 ありがとう!👼♥




「ねえ、和田は何しに来たの?」


フードコートを出ると、緩莓が首を傾げながら和田にそう訊ねた。


「いや、暇つぶしに来ただけ」


「前から思ってたけど、和田って意外と行動力あるよね」


緩莓が少しいたずらっぽく笑う。


「たしかに、行動力だけはあるよな〜」


俺も同調してそう言うと、和田は口をとんがらせた。


「お前ら二人揃って腹黒いな、ブラックコンビ」


「腹黒いのは和田の方でしょ…」


和田の方を向きながら喋っていた緩莓が、前の下り階段に気づかず落ちそうになった。


「わ…」


「あぶねっ!」


俺と和田が同時に緩莓の腕を掴んだ。


緩莓は落ちずに済んだが、三人して尻もちをついてしまった。


「ごめん、ありがとう」


緩莓が手を合わせながら謝った。


「お前はほんと馬鹿だなあ、よそ見危ねーぞ」


和田が緩莓を指差しながら言った。


「馬鹿って…言い方悪いなあ」


緩莓がしゅんとする。


「わぁった!わぁったから!お前は馬鹿じゃない天才だ!」


「とりあえず立とっか」


まだ尻もちをついたままの二人に声をかける。


「わ、ごめんねみっちゃん」


緩莓がすっくと立ち上がった。


「お前ほんと三橋のこと好きなー」


和田が茶化した。


「そ…そういう和田は好きな子いないの?」


「たしかに。俺も気になる」


じーっと見つめると、和田は照れているのを隠すように頭をかいた。


「い…いねぇよ」


「え〜、ほんと?」


緩莓がにやりと笑いながら和田の顔を覗き込んだ。


「ほんとにいないの?今日はエイプリルフールじゃないよ」


「う…」


和田が耳まで真っ赤にして小さく唸った。


「ご想像にお任せします」


「ちぇ〜」


緩莓がつまらなそうに口をとんがらせた。


こうやって話している間にも、通り過ぎる人たちが振り向いて緩莓を見ている。


さっきのタピオカ店で騒いでたJKも、緩莓のことを見ている。


「そういえば、お前姉ちゃんいるよな?」


階段を降りながら和田が緩莓に訊ねた。


「いるよ。今は外国に留学してるけどね」


「留学⁉すげーな、俺の姉ちゃんなんてチャラチャラしてばっかなのに。同い年でもこんなに差があるもんなんだな〜」


どうやら緩莓のお姉さんと和田のお姉さんは同い年らしい。


「…ねえ、みっちゃん、和田」


階段を降りてから、緩莓は足を止めた。


「ん?どした」


そう訊ねると、緩莓は少し寂しそうな表情をしながら、潤んだ瞳で見つめてきた。


「…次、会えるのはいつだろうね」


寂しそうに笑った緩莓を見たら、胸が締め付けられた。


「大丈夫。またすぐ会えるよ。それまでの時間なんてあっという間だよ」


そう優しく言うと、緩莓は微笑んだ。


「…俺さあ、思うんだけど…」


和田が口を開いた。



「お前らほんとに付き合ってないのか?」



何か名言らしきものを期待していた俺は拍子抜けしてしまった。


だけど、和田の表情はいたって真剣だ。


「つっ、つつつ付き合ってるわけないじゃん〜ねぇみっちゃん」


緩莓に背中を叩かれた。


「俺らの秘密なんか、お前みたいなゴリラに教えるもんか!」


「あ゛!?」


「あー、やっぱり二人とも面白い」


手を叩きながら笑う緩莓と、和田を挑発しつつ逃げる俺と、俺を追いかけ回す和田。




はたからみたらただの変な三人組って思われそうだけど、そんなのちっとも気にならない。


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