日曜日。目をこすりながら朝食をとる。
彩夏ちゃんは朝食を食べたら家へ帰るようだ。
「それじゃあ、行ってくるね!」
半同棲中の俺ら。彩夏ちゃんは家へ帰るらしい。
急いで帰って友達と会うらしい。
「いってらっしゃーい」
俺は彩夏ちゃんを送って、顔を洗う。
ニコニコしていたが、いつも彩夏ちゃんの笑顔ではないような気がした。
何か、奥に闇だったり黒いものが隠れているような.....
ちょっと不気味で作ったような笑顔。自然な感じがしない。
ピンポーン
インターホンが鳴ったが、泡だらけの顔じゃ出られない。
それにパジャマ姿だし。カーディガンでも羽織ろう。
俺は急いで顔にバシャバシャ水をかけた。
なんでこんなときに来るんだろう。
「はーい、遅れてすみません〜っ」
ドアをガチャっと開けると、背が高くてスーツ姿の男が四人も。
勝手に1人だろうと思っていたが違う。
朝から何の様だろう、四人もスーツ姿の男が来ていて。
まるで大統領や金持ちを守る、SPのようだ。
「岡崎賢人様でございますね?」
四人の中でも中央にいる、一番背の高い男が話す。
「あ、はい、どちら様でしょうか?」
いかにも怪しい人達がなんだろうか。
「申し遅れました。こういう者です」
名刺を見ると、日本奴隷監禁社..? なんだそれ?
その男が一枚の書類を差し出してくる。
――柴田弘之は期限までに借金二千万円を返済できない場合、
岡崎賢人を人質とし日本奴隷監禁社に身柄を引き渡すこととする
と書いてあった。えっ、 人質!? 何それ。
人質ってハイジャックとかで聞いたことはあるけど.....
柴田弘之って...彩夏ちゃんの父親! なんだとあのオヤジ!
「えっと、柴田弘之様は期限である昨日までに、借金を返済できなかったので、此方にあるように岡崎様の身柄を弊社へ引き渡すことになります」
そんな契約した覚えがない! なぜ身柄を拘束されなきゃいけないのだ。
書面をよく見ると、上の方に柴田彩夏とサインが書いてある。
「あの、このような契約をした覚えがありませんが....」
「しかし、岡崎様の判子が押されていますが?」
「弊社と、柴田弘之様、柴田彩夏様で契約したので、岡崎様、
身柄を弊社に引き渡しますね」
きっと、寝ている間にこっそり俺の判子を持ち出して判子を押したのだろう。
一瞬で、彩夏ちゃんへの愛情が冷めてしまった。
「いやだ! 俺はそんな契約してない!」
「でも、もうこの事は取り消せません」
俺が部屋の中へ逃げようとすると、今まで何も喋らなかった
他の黒服たちに追いかけられ、ついに俺は捕まってしまった。
「静かにしろ!」 黒服たちが俺の事を無理矢理運ぶ。
そして、マンションの下へ連れられ、入口の近くにある
黒いハイエースのような自動車に乗せられた。
空を見ると天気予報では晴れだったのに、黒く気味の悪い雲で空は覆われていた。
――その日、俺は奴隷になった。