〈 私の親友がイケメンすぎる話 〉
「 うわぁ、久しぶりだなー。 」
校舎を前にして呟いたのはイケメンと化した友達。
その表情生き生きとしていて、何度見てもカッコいい。
そういえば、前の紗紀の顔は半分くらい前髪で隠れていて顔がハッキリ見えなかった。
こんなに美形だったなんて....。
「 叶花?行くよ、 」
少し前に進んだ紗来がボーッと突っ立っている私に声をかけた。
というか....あんなに身長高かったっけ...?
「 紗来さ、身長何cm? 」
私は紗来の隣に並びふと気になったことを尋ねる。
前までは少し猫背気味で....、確かに身長は少し高かったけど...。
「 今はー...、170くらい? 」
ひゃ、ひゃくななじゅう!!
私と15cmは差がある!
なるほどね....、身長が高いから余計カッコよく見えるんだ。
私たちの教室がある3階フロアの廊下はいつもの倍以上賑わっていた。
久しぶりー、とか、髪切ったー?とか、他愛のない会話が聞こえてくる。
これ...、紗来が教室に入ったらみんなどんな反応するんだろう。
「 おはよー。 」
!?
いつも紗来は教室に入るとき「おはよう」なんて言わない。
静かにスッと入って自分の席に大人しく向かって大人しく席に着く。
しかも結構大きい声量だったからクラスのみんながこちらに注目。
「誰?」「転校生かな?」「かっこいいね」なんて声が聞こえてきた。
しかし、うちのイケメンさんはそんなことお構いなし。
自分の席に軽やかに向かって座る。
紗来が席に座った途端、あちらこちらから驚きの声が上がった。
「 え!?あ、あなた、東城さん!? 」
一番はじめに声をかけに行ったのは、紗来をいじめていた姫名ちゃん。
紗来、大丈夫かな...?また何か言われたり...。
「 へぇ〜。髪切ったんだぁ〜...。似合ってはないけどまあいいんじゃない? 」
こいつ...。紗来、言い返せ!言い返しちゃえこんなやつ!
今の紗来なら言えるから!!
「 普通目障り。邪魔だしうるさい。 」
.....クール!めっちゃクール!
なんか、冷たいけどかっこいいよ...!
「 は、はぁ!?あなたね、私になに言ってるか分かって...! 」
「 うるせぇな、分かってるよ自分の言ってることぐらい。お前何様?別にあんたに何言おうが、私の自由。消えて。 」
はーい、もうだめ。もう終わり。
紗来は迫力がありすぎる。
イケメンなんだけど、超怖い。ヤクザか何かですかあなた。
もう紗来には従うしかない、この場に居た全員がそう思ったはず。