「そろそろ文化祭……作品、まだ作れてない……」
「1人1作品出すんだったよねー」
「…………おい」
昼休み、英語準備室で私と明石君、左巻先生はお弁当を食べていた。
英語準備室のパソコンでぼんやり映画を眺めていると明石君が唐突に文化祭の話を始め、左巻先生は低い声で威圧する。
「ロックはいいとして……なんでお前がいるんだよ馬鹿ネコ! 俺のパソコンで映画なんか観やがって……」
「だって明石君に誘われたし……2018年にリリースされた映画がちょうど著作権切れで配信されてたから観てるの!」
「誘った……仮面ファイターの映画観ながらお弁当一緒に食べようって……」
明石君に甘い左巻先生はそれ以上は何も言えないのか苦い顔をして焼き鳥を頬張った。
「やっぱ仮面ファイターはクロスゼットでしょ!」
「いや……敵役のラブルト……」
「あ〜ラブルトもいいよね! 特にフェーズ2のフォルムが好き」
私と明石君が仲睦まじく画面に食い入るように魅入っていると、不機嫌そうな声で叫んだ。
「馬鹿ネコはとっとと文化祭の準備でもしてろ!」
「私はもう描けてるよ! これ」
そう言って描けた絵を二人の前へ掲げて見せる。
「は……? なんだこの……間抜けな絵 >>52 は……」
二人は難しそうな顔で私の絵を見つめている。
「なにって……魚だけど?」
「……このカエルは……?」
「おじいちゃんが好きなキャラクター! おんじぇい? なんじぇい? のキャラクターらしいよ」