それにしても、と思う。何の目撃情報もないのに
情報提供を求めるとは愚かだ。TVの画面は変わり
俺の起こした事件の特集が始まった。若い女の
ニュースキャスターが「未だ犯人は特定出来ておりません」と
告げる。くだらない。無能過ぎて張り合いがない。
TVを消し、俺は煙草を吸いながら思った。
いっそのこと、何か殺害現場に証拠を残そうかという
考えが頭に浮かんだ。しかしそれをすぐに打ち消す。
今まで何の手掛りも指紋も残さず、犯行声明を無能な
警察に送ったりもしなかった。それが俺のポリシー
だからだ。いくら張り合いがないからと、今までの
やり方を壊すのは自分のポリシーに反する。
煙草の灰を吸殻に押し付けて、一息つくと
違うことを考えた。次は誰を殺害するか。どんな
殺し方にするか。俺の快感は人を殺害こと。
その殺し方もじっくり悩み、考えてから殺害するのが
俺のやり方である。