天国と地獄

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2:kankan:2019/10/28(月) 23:57

きっかけは前触れもなくやってきた。
女子大を卒業して、とある会社に就職した私は、
この日、新人の仕事として、先輩と一緒に営業先を回ったのだった。
仕事自体は特に問題はなく、そのまま私は先輩と別れ、
自宅に向かうバスへと乗り込んだ。

ここまではよかった。

ところが、バスが発車してしばらくしたときである。

「ぐるぐるぐる」

最初はお腹が鳴っただけだと思った。
しかし、それからすぐ、そのお腹に強烈な痛みが襲ってきたのだ。
慣れない仕事からくる緊張感から解放されたせいだろうか。
それとも、普通の生理現象だろうか。

要は、私は帰りのバスの中で猛烈にうんちがしたくなってしまったのだ。

私は今すぐにでもトイレに駆け込みたかった。
しかし、そこはバスの中である。トイレなどあるはずもない。
途中のバス停で降りようかとも思ったが、
次のバスを待たなければならないし、
トイレがどこにあるのか分からない。

その結果、私は自分が降りるバス停まで、我慢する選択をしたのだ。

帰り道の公園にトイレがあるのは知っている。
もう少しなら我慢できそうだし、
知っている場所を使った方が確実だと思ったからだ。

私は必至で便意を耐えた。しかし、思わぬ誤算があった。
バスが渋滞に巻き込まれたのだ。
私は焦った。途中、二回ほど本当にやばい時があった。
少しでも力を緩めれば、スカートの中をトイレにしてしまう。

体はじっとしているが、心の中では大声で叫ぶ。はやく動いてと。
それは祈りにも近い感覚だ。

しかし、それでも私は耐えきった。
目的地のバス停についたときは、本当に天に昇るかのようであった。

あとは近くの公園に行けさえすればいい。
私はお腹を押さえて、一歩一歩ゆっくりと歩き出した。
足を出すたびにお腹に衝撃が響く。
そのかわり、公園の入り口が少しずつ近づいてくる。

あと少し、あと少しで、うんちが……。

そして、私はついにたどり着いたのだ。天国への入り口に。

勝った。私はお腹に勝ったのだ。
あとはトイレに向かって思い切りうんちを……。


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