授業担当の先生が教室に溜め息をつきながら
入ってくる。ウチのクラスは授業中も
お構い無しにうるさいので、先生もこのクラスで
授業をするのが嫌みたいだった。ま、当たり前か。
先生の言うことも聞かないもんなぁ。私が授業担当の
先生だったら、こんなクラスで授業をしたいなんて
絶対思わないだろう。
ちなみに、この一時間目の授業は英語。
英語の先生は市原 綾(いちはら あや)先生。
若くて綺麗な先生で、慕われている。
男の先生が多いこの学校では珍しい女性である。
―て言うか。まだ皆座ってないんだけど。
いつものことながら悲しくなる。どうせ無駄だとは
思うが、私は再び声を上げることにした。
「ちょっと!もう先生来たでしょ?座って!」
私の注意も虚しく、皆まるで聞いていない。
座ろうとさえしない。―しかも。一人の男子が
先生の立つ教卓に忍び足で近付く。この男子は
この学校崩壊しているクラスの中でも目立つ
リーダー的存在。だから私はもの凄く嫌な予感が
したのだった。
「きゃあ!」
―ペロッ。
あろうことか、その男子が綾先生のスカートを
めくったのである。
「綾先生おっとな〜!パンツの色黒じゃん!」
おまけにパンツの色まで暴露する。最低だ。
そんな小学生みたいなことして。もう中2なのに。
「お前やっる〜!流石〜‼」
その男子を称えるような声まで聞こえてくる。
綾先生は涙目になっている。
もう最悪!我慢の限界!
「あんた達、良い加減にしなさいよ‼」