男子高校生は押し入れに殺人鬼を飼っている

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧
1:FLG:2019/11/25(月) 00:01

大規模宇宙戦争で巨大ロボにパイロットとして乗って地球外生命体と戦う未来はまだまだ遠いし、陰謀とサスペンスに満ちた戦国時代は遅すぎた。

争いの無い縄文時代から戦争の絶えない時代を経て、また争いのない令和へと時代が一周回った。
別に戦争をしたいわけではないけど、刺激がないのもある種の苦痛を産む。

日本の裏側の側面の反対側とかは紛争が起きているんだろうけど、俺にはコンビニで五円玉を募金箱に入れるくらいしかやれることがない。
なぜなら俺はごく普通の男子高校生だからだ。

ヒーローでもない、スパイや殺し屋でもない、無能力で、使い魔もいない。
この世に世界征服を企む悪の組織はいないし、道端でいきなり怪人が現れることも無い。
異世界への扉は無いし、神様の間違いでチート能力を持って転生することも無い。

日常アニメにありがちな怪しい部活や同好会の一つでもあれば入ってみようと思ったが、どれも健全な運動部と文化部しか無い。

フィクションに夢を見すぎたことを後悔して、それでも主人公になりたくて、廃棄ビルやら夜のビルの屋上やら、怪しそうな場所には進んで行ってみたりしたが、結局不良のたまり場で、絡まれて4000円カツアゲされただけだった。



俺はこのままずっと、モブみたいな人生を編んで眠るのだろうか。

別に特殊能力なんていい、宇宙戦争なんかなくったっていい、使い魔だっていなくていい、異世界に転生できなくったっていい、変身してヒーローになれなくったっていい。


ただ、普通の高校生とはちょっと違う、秘密を持った主人公に、俺はなりたいだけ──。


全部 次100> キーワード
名前 メモ